腰痛は、腰の筋肉や関節、椎間板などの組織に痛みや不快感がある状態です。腰痛は、日本においても国民病ともいわれるほど、多くの人が経験する症状です。
腰痛の原因
腰痛の原因は、大きく分けて次の3つに分けられます。
① 筋肉や靭帯の損傷
腰痛の最も一般的な原因は、筋肉や靭帯の損傷です。腰を捻ったり、重いものを持ち上げたりするなどの動作によって、筋肉や靭帯が損傷し、痛みを引き起こします。
靭帯は、骨と骨をつなぐ丈夫な結合組織です。
主にコラーゲン繊維で構成されており、伸びにくく、強い力で骨を固定します。
靭帯は、関節を支えて安定させる役割を担っています。
また、関節の動きが過度に大きくなるのを防ぐ役割もあります。
靭帯は、体中に存在しますが、特に膝や足首などの関節に多く存在します。
靭帯の損傷は、スポーツや事故などで発生することがあります。靭帯が損傷すると、関節の痛みや腫れ、運動制限などの症状が現れることがあります。
靭帯損傷の治療は、損傷の程度によって異なります。軽度の場合は、安静や装具固定などの保存療法で改善することがあります。重度の場合は、手術による修復が必要になることがあります。靭帯損傷を予防するには、適度な運動やストレッチを行い、関節を酷使しないようにすることが大切です。
② 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは、腰椎の椎間板が破裂し、その中の髄核が飛び出して神経を圧迫する病気です。椎間板ヘルニアになると、腰や臀部、下肢に痛みやしびれなどの症状が現れます。
③ 骨や関節の病気
骨や関節の病気も、腰痛の原因となります。例えば、腰椎分離症や腰椎すべり症、変形性腰椎症などの病気は、腰の骨や関節に異常が生じることで、痛みを引き起こします。
腰痛の症状
腰痛の症状は、痛みの程度や場所、持続期間など、人によってさまざまです。
痛みの程度
腰痛の痛みの程度は、軽いものから重いものまであります。軽度の腰痛は、休息や鎮痛剤などで改善することが多いですが、重度の腰痛は、日常生活に支障をきたすこともあります。
痛みの場所
腰痛の痛みの場所は、腰部、臀部、下肢など、さまざまな場所に現れることがあります。
持続期間
腰痛の持続期間は、数日~数週間程度のことが多いですが、長引く場合もあります。
腰痛の診断
腰痛の診断は、問診、身体検査、画像検査などによって行われます。
問診
問診では、痛みの程度や場所、持続期間、発症の原因などを詳しく聞き取ります。
身体検査
身体検査では、腰や臀部、下肢の筋肉や関節の状態を調べます。
画像検査
画像検査では、腰椎の骨や関節、椎間板の状態を詳しく調べます。
腰痛の治療
腰痛の治療は、原因によって異なります。
1⃣ 筋肉や靭帯の損傷
筋肉や靭帯の損傷による腰痛は、安静、鎮痛剤、湿布などの保存療法で改善することが多いですが、重度の場合は、手術が必要になることもあります。
2⃣ 椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアによる腰痛は、保存療法で改善することが多いですが、手術が必要なこともあります。
3⃣ 骨や関節の病気
骨や関節の病気による腰痛は、病気によって治療法が異なります。

腰痛の危険な症状
腰痛には、重篤な病気が原因となっている場合もあります。以下のような症状を伴う腰痛は、危険な状態である可能性があり、早急に医療機関を受診するようにしましょう。
- 下肢のしびれや麻痺
- 排尿や排便の障害
- 発熱や体重減少
- 原因不明の腰痛
腰痛のセルフケア
腰痛の症状が軽い場合は、以下のようなセルフケアで改善できる場合があります。
- 安静
- 鎮痛剤や湿布の使用
- 温熱療法
- ストレッチやマッサージ
安静は、腰痛の症状を悪化させないために、最も大切なことです。安静が必要な期間は、腰痛の程度によって異なりますが、通常は数日~数週間程度です。
鎮痛剤や湿布は、痛みを和らげるために使用します。市販薬で十分に効果が得られない場合は、医師の指示に従って使用しましょう。
温熱療法は、血行を促進して、痛みを和らげます。入浴やホットパックなど、自分に合った方法で行うようにしましょう。
ストレッチやマッサージは、腰周りの筋肉をほぐして、痛みを軽減します。無理のない範囲で行うようにしましょう。
腰痛の予防
腰痛の予防には、次のことに気をつけることが大切です。
☆正しい姿勢を保つ
立っているときや座っているときは、背筋を伸ばして、腰に負担がかからない姿勢を保ちましょう。
☆適度な運動をする
適度な運動をすることで、筋肉が鍛えられ、腰痛の予防につながります。
☆重いものを持ち上げるときの姿勢を正しくする
重いものを持ち上げるときは、腰を曲げずに、足を使って持ち上げましょう。
☆十分な睡眠をとる
十分な睡眠をとることで、筋肉や関節の疲労が回復し、腰痛の予防につながります。
☆バランスのよい食事をとる
バランスのよい食事をとることで、骨や関節を健康に保ち、腰痛の予防につながります。
☆ストレスを溜めない
ストレスは、腰痛の症状を悪化させる原因となります。ストレスを溜めないように心がけましょう。
腰痛は、誰もが経験する可能性がある症状です。腰痛の症状が現れた場合は、無理をせずに早めに医療機関を受診するようにしましょう。