便秘は、誰にでも起こり得る症状ですが、放置しておくと、なんと命にかかわることもあるって知っていましたか？
便秘が続くと、腸内に有害物質が長時間留まり、大腸がんや腸閉塞などのリスクが高まります。また、便意を我慢する習慣が続くと、痔や肛門裂などの肛門疾患を引き起こすこともあります。
便秘は、たかが便秘と侮るなかれ！ 早めに対策して、健康を守りましょう。
便秘の危険性
便秘の危険性には、以下のようなものが挙げられます。
痔や肛門疾患のリスク増加
便秘は、排便が困難で、排便間隔が長く、便量が少ない、または硬い状態を指します。便秘が続くと、便が硬くなり、排便時にいきむ必要性が高まります。いきみすぎると、肛門周りの血管が切れて痔や肛門裂などの肛門疾患を引き起こす可能性があります。
痔とは？
痔とは、肛門周りの血管が腫れやこぶのようになっている状態です。内痔核と外痔核の2種類に分けられます。内痔核は肛門の中にでき、外痔核は肛門の外にできます。
肛門裂とは？
肛門裂とは、肛門の入り口付近に傷ができることです。排便時にいきみすぎて肛門に負担がかかることで発症します。
腸閉塞のリスク増加
便が長時間大腸にとどまると、水分が過剰に吸収されて便が硬くなり、腸閉塞を引き起こす可能性があります。腸閉塞は、発熱、嘔吐、腹痛などの症状を引き起こし、命にかかわることもあります。
腸閉塞とは？
腸閉塞とは、腸管の内容物が腸管の内部で流れなくなる病気です。腸管の内容物が流れなくなることで、腸管が拡張し、腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
腸閉塞には、機械的腸閉塞と麻痺性腸閉塞の2種類があります。
機械的腸閉塞
腸管が物理的に閉塞することで起こります。閉塞の原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 腫瘍やポリープなどの異物
- 炎症や感染症による癒着
- ヘルニアの嵌頓
- 腸重積
- 結腸癌
麻痺性腸閉塞
腸管の蠕動運動が障害されることで起こります。障害の原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 手術や腹膜炎などの外科的操作
- 薬剤の副作用
- 電解質異常
- 神経系の疾患
腸閉塞の症状は、以下のとおりです。
- 腹痛
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹部膨満
- 便秘
- 腹部圧痛
- 発熱
腸閉塞は、放置すると腸管が壊死し、生命を脅かす危険性があります。そのため、症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
腸閉塞の診断は、問診、理学検査、画像検査などによって行われます。
腸閉塞の治療は、原因によって異なります。
- 機械的腸閉塞：原因を取り除くための手術を行う
- 麻痺性腸閉塞：原因を特定し、適切な治療を行う
機械的腸閉塞の場合は、原因を取り除くための手術が一般的です。麻痺性腸閉塞の場合は、原因を特定し、適切な治療を行うことで、腸管の蠕動運動を回復させます。
腸閉塞の予防には、以下のことに注意しましょう。
便秘は腸内環境を悪化させ、大腸がんのリスクを高める
便秘は、排便が困難で、排便間隔が長く、便量が少ない、または硬い状態を指します。便秘が続くと、腸内に有害物質が長時間留まることになります。有害物質が腸の粘膜に刺激を与えることで、大腸がんのリスクが高まると考えられています。つまり便秘が続くと、便が長時間大腸に滞留し、水分が吸収されて硬くなります。硬くなった便は、腸内細菌の働きで分解され、有害物質が発生します。有害物質が腸の粘膜に刺激を与えることで、細胞のDNAが傷つき、大腸がんを発症するリスクが高まると考えられています。
大腸がんとは？
大腸がんは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。大腸がんは、日本人の死亡原因の第2位を占めています。
便秘による精神的・身体的負担
便秘は、腹痛や腹部膨満感などの不快な症状を引き起こします。また、便意を我慢する習慣が続くと、ストレスや不安などの精神的負担にもつながります。
便秘の予防と対策
便秘を予防するためには、以下のことに気をつけましょう。
毎日決まった時間に排便する
便意を感じたら、我慢せずに排便しましょう。排便のタイミングを逃すと、便が硬くなり、排便が困難になる可能性があります。
適度な運動をする
運動不足は、便秘の原因となります。1日30分程度のウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を心がけましょう。
水分を十分に摂る
水分が不足すると、便が硬くなり、排便が困難になる可能性があります。1日1.5～2リットルの水分を摂るようにしましょう。
食物繊維を多く摂る
食物繊維は、便の量を増やし、腸を刺激して排便を促します。野菜、果物、きのこ、海藻、全粒穀物などに多く含まれています。
便秘がひどい場合には、便秘薬を服用するのも一つの方法です。ただし、便秘薬はあくまでも対症療法であり、根本的な改善にはなりません。
便秘の早期発見と治療が重要
便秘は、生活習慣の改善や薬の服用によって改善できることが多い病気です。便秘に悩んでいる方は、早めに医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。
