膝の痛みは、加齢や肥満、運動不足などの原因で発症することがあります。膝の痛みがあると、歩くのが辛くなったり、日常生活に支障をきたしたりすることもあります。
そんな膝の痛みですが、実はウォーキングで改善できるという研究結果が発表されました。
米ベイラー医科大学の研究によると、変形性関節症と診断された50歳以上の人が、週に3回、1回あたり30分以上ウォーキングをすると、膝の痛みが40%減少することが明らかになりました。
ウォーキングは、膝関節を動かすことで、筋力アップや関節の可動域の改善に役立ちます。また、ウォーキングは無理なく続けやすい運動なので、継続しやすいというメリットもあります。
膝の痛みでお悩みの方は、ウォーキングを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
膝痛で悩む人、日本国内で1000万人以上
日本国内では、50歳以上の1,000万人以上が、変形性関節症による膝痛を経験しているといわれています。変形性関節症は、加齢や肥満、運動不足などの影響で、膝の軟骨がすり減って発症する病気です。
膝の痛みがあると、歩行や階段の昇降などが困難になり、日常生活に支障をきたすことがあります。また、変形性関節症が進行すると、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を引き起こすリスクが高まります。
変形性関節症の予防・改善には、体重を減らす、適度な運動をする、正しい姿勢を保つなどの生活習慣の改善が大切です。
変形性関節症とは、関節の軟骨が摩耗して、骨が削れて変形する病気です。関節に痛みや腫れ、こわばりなどの症状が現れます。
肥満と筋力低下が変形性関節症の増加を加速
世界で変形性関節症の患者数が急増しており、2050年までに10億人近くに達するとの予測が出ています。その主な原因は、肥満と筋力低下です。
肥満や過体重の人は、体重が重いため、膝関節にかかる負荷が大きくなります。また、筋力が低下すると、関節を支える力が弱まり、膝関節への負荷が増大します。
肥満と筋力低下は、生活習慣の改善によって予防・改善が可能です。適度な運動やバランスの良い食事、正しい姿勢の維持など、日頃から健康的な生活を心がけましょう。
肥満による変形性関節症、運動で予防・改善
肥満や過体重の人は、膝関節にかかる負荷が大きくなり、変形性関節症を発症しやすくなります。しかし、適度な運動によって、体重を減らすことができれば、変形性関節症の予防・改善につながる可能性があることが、研究で明らかになりました。
研究では、体格指数(BMI)が25以上の肥満や過体重の人が、効果的に体重を減らせば、変形性関節症による負担は20%減少すると推定されました。
運動は、体重を減らすだけでなく、筋力アップや関節の可動域の改善にも効果的です。また、運動をすることで、関節痛を予防する効果も期待できます。
1日に座ったまま過ごす時間が長い人は、関節痛を予防・改善するためにも、運動を習慣として行うことを心がけましょう。
ウォーキングが膝痛に効果的
変形性関節症と診断された50歳以上の人は、ウォーキングなどの運動を行うことで、膝の痛みを軽減できることが、米ベイラー医科大学の研究で明らかになりました。
研究では、米国で実施されたコホート研究である「変形性関節症イニシアチブ」に参加した、50歳以上の男女1,212人のデータを解析しました。その結果、ウォーキングをしている人は、していない人に比べて、頻繁に起こる膝痛が40%少ないことが明らかになりました。
研究を主導したグレース シャオウェイ ロー氏は、「ウォーキングなどの運動は、変形性関節症の損傷と痛みを同時に軽減できる効果的な治療法となる可能性があります」と述べています。
ウォーキングは、膝に負担の少ない運動であり、誰でも気軽に始めることができます。変形性関節症の膝痛に悩んでいる人は、ウォーキングを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
無理のないウォーキングの方法
ウォーキングを無理なく楽しく行うための方法はいくつかあります。
- 無理のないペースで歩く
- 高齢者は、若い人に比べて筋力や体力に衰えがあるため、無理のないペースで歩くことが大切です。最初は、10分程度のウォーキングから始め、徐々に時間を延ばしていくようにしましょう。
- 息が切れたり、膝や腰に痛みを感じたら、休憩をとるようにしましょう。また、水分補給もこまめに行うようにしましょう。
- 平坦な道を歩く
- 坂道や凸凹のある道は、膝に負担がかかるため、平坦な道を歩くようにしましょう。
- 足腰に負担がかからない靴を履く
- クッション性の高い靴を選ぶ。
- かかとの高い靴は避ける。
足にフィットした歩きやすい靴を履くことで、膝への負担を軽減することができます。
- 楽しいことをしながら歩く
- 散歩コースを決めておく(自然の中で歩くと、心身ともにリラックスすることができます。)
- 友人や家族と歩く(一緒に歩くことで、モチベーションを維持しやすくなります。)
- ウォーキングアプリやGPSウォッチを利用する(歩数や距離などのデータを記録することで、自分の歩行状況を把握することができます。)
具体的な例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 公園を散歩する
- 川沿いを歩く
- 海岸を歩く
- 図書館や美術館までの道を歩く
- 買い物やお出かけのついでに歩く
ウォーキングは、高齢者の健康維持に効果的な運動です。無理なく続けられる方法を見つけて、ぜひ習慣にしましょう。また、ウォーキングを始める前に、かかりつけ医に相談しておくと安心です。