花火大会で、さまざまな色の花火が夜空を彩るのを、みなさんも見たことがあるでしょう。その色鮮やかな花火の色は、一体どのようにして生まれるのでしょうか？
実は、花火の色は、花火の薬品に含まれる金属の種類によって決まります。例えば、赤い花火にはストロンチウム、緑色の花火にはバリウム、青い花火には銅などが使われているのです。
これらの金属は、燃焼時に特定の波長の光を放出します。私たちは、その光の波長によって、色を認識しているのです。
例えば、ストロンチウムが燃焼すると、波長が600～700nmの赤色の光を放出します。そのため、私たちはストロンチウムを使った花火を赤色と認識するのです。
このように、花火の色は、花火の薬品に含まれる金属の種類によって決まるのです。
花火は恋愛の「縁結び」？
夏の風物詩として、多くの人々に親しまれている花火。その美しい光景は、人々の心をときめかせ、恋愛を後押しすることもあるようです。
江戸時代や明治時代の日本では、花火大会は、恋人たちにとって、まさに「縁結び」の舞台でした。当時の花火大会は、今のように次々に打ち上がるものではなく、しばらく間隔を置いて打ち上げられることが多かったといいます。そのため、打ち上げの間に、男女が会話をしたり、手をつないだりすることができたのです。
江戸時代の端唄「縁かいな」にも、そのような花火大会での恋の始まりが描かれています。
「夏のすずみは両国の 出船入り船屋形船 上がる龍勢星くだり 玉屋が取り持つ縁かいな」
この端唄では、両国で花火を楽しんでいる男女が、花火の合間に会話を重ね、すっかり仲睦まじくなっていく様子が描かれています。玉屋とは、当時の人気花火屋の名前です。
当時の花火は、今のように派手な演出はなく、どちらかというとシンプルなものだったといいます。そのため、花火そのものよりも、花火を楽しみながら過ごす時間や、花火を見ながら会話をする相手との距離感に、恋愛のきっかけが生まれていたのかもしれません。
現代でも、花火大会は恋人たちにとって、特別な思い出を作ることができる場所です。花火の美しい光景を眺めながら、大切な人との時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
花火の構造と音、欧米と日本の違い
夏の風物詩として、世界中で親しまれている花火。日本では、その美しい光景と迫力ある音で、多くの人々を魅了しています。
しかし、花火の構造や音に対する感覚は、国によって異なるようです。
まず、花火の構造について。欧米の花火は筒型のものが多いのに対し、日本の花火は球形のものが多いです。これは、打ち上げ高度や見た目の印象の違いによるものです。
欧米では、中世の時代から王侯貴族が城の中から花火を楽しむことが多かったため、打ち上げ高度を低く抑えて、平面的な形で打ち上げる筒型の花火が主流となりました。
一方、日本では、川岸や町中など、さまざまな場所から花火を眺める庶民が多かったため、打ち上げ高度を高くして、立体的な球形で打ち上げる球形の花火が主流となりました。
次に、花火の音について。日本では、音だけの昼花火は主にイベントの開催を報せる祝砲として用いられるにとどまっています。しかし、欧米では、音の迫力も花火の重要な要素とされています。
特に、花火の歴史が古いイタリアや、劇的な花火を好むスペインでは、花火の音だけを競うコンテストも行われています。お腹に響き渡るような爆音がないとブーイングが起こることもあるのだとか。
このように、花火の構造や音に対する感覚は、国によって異なるようです。日本と欧米の花火の違いを知って、より深く花火を楽しむことができるでしょう。
花火の儚さと余韻を詠んだ、ひとひねり名句
夏の風物詩として親しまれる花火。その美しさと儚さは、多くの人々の心を捉えてきました。
俳人たちもまた、花火を題材に数々の名句を残しています。その中でも、花火の儚さと余韻を詠んだ句は、ひとひねりある表現で、読者の心を深く揺さぶります。
例えば、江戸時代の絵師・酒井抱一の「星一つ 残して落る 花火かな」は、夜空に輝く星と、その下で消えゆく花火を対比させて、花火の儚さを表現しています。また、久保田万太郎の「空に月 のこして花火 了（おわ）りけり」は、花火が終わった後の空に残された月を詠んで、花火の余韻をしみじみと味わう気持ちを表現しています。
さらに、寺田寅彦の「遠花火 開いて消えし 元の闇」は、遠くで打ち上がる花火が消えていった後、再び闇に包まれた空を詠んで、花火の儚さと、そこから生まれる寂寥感を表現しています。
これらの句は、花火の華やかさよりも、その儚さや余韻に心を寄せることで、花火の美しさや奥深さをより深く表現しています。それは、わびさびを愛でる日本人ならではの心情といえるでしょう。
花火の「ヒュ～」音の正体は「笛」！期待感を高める仕掛け
夏の風物詩として親しまれている花火。その美しい光景と迫力ある音は、見る人を魅了します。
花火が空に向かって打ち上げられる時、私たちは「ヒュ～」という音を聞くことができます。この音は、花火が空気を切り裂いて鳴っているようにも聞こえますが、実は花火に備え付けられた「笛」でわざと鳴らしています。
この笛は「昇り曲（のぼりきょく）」と呼ばれ、花火玉本体の外側に装着されています。昇り曲には、笛の他にも、火花を散らしながら上がっていったり、太い尾を引きながら上がっていくような仕掛けもあります。
昇り曲の音は、花火の期待感をより一層高める効果があります。音が聞こえた瞬間、人は「今から何が起こるのか」と期待を膨らませます。また、音の大きさや音色によって、花火の種類や大きさ、迫力を想像することができます。
昇り曲は、花火の演出の重要な要素のひとつです。音の響き方やタイミングを工夫することで、花火の美しさと迫力をより一層引き立てることができます。
