サケの鼻軟骨から抽出される「サケプロテオグリカン」って知ってますか?
関節や肌の健康維持に効果があると期待されていて、最近は機能性表示食品や化粧品にも使われています。
女性の更年期障害の予防に繋がる成分、サケプロテオグリカンの新たな研究成果や、今後の応用について、詳しくご紹介します。
女性の更年期障害とは
女性の更年期障害とは、閉経を境に起こる身体的・精神的症状の総称です。閉経とは、卵巣から排卵がなくなり、月経がなくなることです。閉経の平均年齢は50歳前後ですが、個人差があります。
・ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)・発汗・不眠・イライラ・憂うつ・頭痛・めまい・肩こり・腰痛・関節痛・膣の乾燥・性交痛
これらの症状は、女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下することで引き起こされます。エストロゲンは、女性の身体や精神のバランスを保つ働きがあるため、エストロゲンの分泌が低下すると、さまざまな不調が起こります。
脂質異常
エストロゲンの減少によって、さまざまな症状を引き起こしますが、そのうちの1つに、脂質異常があります。脂質異常は、LDLコレステロールなどの非善玉コレステロールが増え、善玉コレステロールが減る状態のことであり、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを高めます。
サケの頭が脂質異常を予防する
2020年2月11日にサケの鼻軟骨から抽出した機能性成分である「サケプロテオグリカン」に、女性の更年期障害で起こる脂質異常を予防する効果があることを弘前大学などの研究チームは確かめました。
研究チームは、サケプロテオグリカンを摂取したマウスでは、LDLコレステロールなどの非善玉コレステロールが低下し、善玉コレステロールが増加することを確認しました。また、サケプロテオグリカンを摂取したマウスでは、骨密度も高まることが確認されました。
これらの結果から、サケプロテオグリカンは、女性の更年期障害の症状を改善する可能性を秘めていると考えられます。
サケの鼻軟骨から「プロテオグリカン」大量抽出に成功
サケの鼻軟骨に含まれる「プロテオグリカン」が、高純度かつ大量に抽出できることが、青森県産業技術センターと弘前大学の研究チームによって明らかになりました。
「プロテオグリカン」は、タンパク質と糖が結合した複合物で、コラーゲンやヒアルロン酸とともに皮膚や軟骨に含まれる成分です。高い保水性と柔軟性を持ち、細胞と細胞の間を埋めて固定化する働きがあります。
これまで「プロテオグリカン」の抽出は難しく、高価なため、医薬品や化粧品への応用は限られていました。
研究チームは、サケの頭部の骨を酢酸で抽出する技術を開発し、従来の抽出方法と比べて、90%以上も高純度な「プロテオグリカン」を大量に抽出することに成功しました。
この技術は、サケの頭部を廃棄せずに活用できるため、環境にも配慮したサステナブルな技術として期待されます。
サケプロテオグリカンは、サケの鼻軟骨に豊富に含まれる成分です。しかし、サケの頭は、一般的に捨てられることが多いですが、サケプロテオグリカンを活用することで、サケの資源を有効活用できる可能性があります。
今後は、サケプロテオグリカンの有効性をさらに検証し、より多くの女性に利用してもらえるよう、研究が進められることが期待されています。
現在の研究
以下の研究が行われています。
- サケプロテオグリカンの摂取量と効果の関係を検証する研究
- サケプロテオグリカンの摂取による更年期障害の諸症状の改善効果を検証する研究
- サケプロテオグリカンの安全性を検証する研究
これらの研究が進めば、サケプロテオグリカンを活用した更年期障害の予防・改善のための新たな食品やサプリメントの開発が期待されます。
サケプロテオグリカン、機能性食品や化粧品への応用拡大
サケの鼻軟骨から抽出される「サケプロテオグリカン」は、高い保水性と柔軟性を持ち、関節や肌の健康維持に効果があると期待されています。
すでに、関節の健康維持を目的とした機能性表示食品や、肌の保湿や弾力維持を目的とした化粧品にサケプロテオグリカンが応用されています。
サケプロテオグリカンは、今後もさまざまな分野への応用が期待されています。