腰痛は、日本では国民の3人に1人が経験する身近な疾患です。その原因はさまざまですが、近年では心理的ストレスが腰痛を悪化させる原因として注目されています。
腰痛の原因は、姿勢や運動不足だけではありません。ストレスも腰痛の原因となる可能性があることをご存知ですか?ストレスによって血行不良や脳機能の変化が起こると、腰痛が悪化し、さらにストレスを感じてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
この悪循環を断ち切るためには、ストレスを軽減することが重要です。適度な運動や十分な睡眠、好きなことに没頭するなど、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。また、腰痛を悪化させる行動を避けることも大切です。
ストレス性の腰痛に悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にして、悪循環から抜け出す方法を見つけてください。
これからの腰痛の捉え方
腰痛の原因は大きく分けて、姿勢や動作による「腰自体の不具合」と心理的ストレスによる「脳機能の不具合」の2つに分けられます。
2つの不具合
腰自体の不具合
不良姿勢や持ち上げ動作による負担が、腰椎のズレや筋肉の損傷を引き起こし、腰痛の原因となります。
脳機能の不具合
仕事や人間関係のストレス、痛みへの不安や恐怖などが、脳内の痛みを感じる神経回路を過敏にさせ、腰痛を引き起こします。
対策
腰痛の対策は、腰自体の不具合と脳機能の不具合の両方に対して行うことが重要です。
腰自体の不具合に対する対策
姿勢や動作の改善、筋力トレーニング、ストレッチなどが行われます。
脳機能の不具合に対する対策
ストレスの軽減、痛みに対する不安や恐怖の克服などが行われます。
ストレスが腰痛を引き起こすメカニズム
では、ストレスが腰痛を引き起こすメカニズムについてもう少し深くみていきましょう。ストレスが腰痛を引き起こすメカニズムには、大きく分けて2つあります。
ストレスが脳機能の不具合を誘引
1つは、ストレスが脳機能の不具合を誘引し、その結果、「身体化」が起こるメカニズムです。身体化とは、ストレスによって引き起こされる身体症状のことです。腰痛や肩こり、頭痛、胃腸の不調など、さまざまな症状が身体化の対象となります。
ストレスが脳の痛みを感じるシステムに影響を及ぼすことで、痛みを感じやすくなり、腰痛を悪化させます。
通常、痛みの信号が脳に伝わると、脳からドーパミンという神経伝達物質が放出され、鎮痛作用や抗炎症作用を発揮します。
しかし、ストレスが脳機能に影響を及ぼした結果、ドーパミンの放出が抑制され、痛みが長引いたり、わずかな痛みも強く感じるようになるのです。
ストレスが腰自体の不具合を誘引
2つ目は、ストレスが腰自体の不具合を誘引するメカニズムです。ストレスによって筋肉が緊張し、姿勢バランスが崩れることで、腰椎への負担が増加し、腰痛を引き起こすと考えられています。
心理的ストレスにより血管が収縮し、腰の筋肉への血流が悪くなることで、筋肉の疲労や炎症を引き起こし、腰痛を悪化させます。
また、ストレスによってコルチゾールなどのストレスホルモンが分泌されることで、筋肉の緊張が高まり、腰痛を悪化させることも考えられます。
これらのメカニズムにより、ストレスは腰痛のリスクを高めると考えられています。
腰痛の予後を悪化させる恐怖回避思考
腰痛の予後を悪化させる要因として、「恐怖回避思考」があります。恐怖回避思考とは、腰痛になったことで「腰痛が悪化するのではないか」「治らないのではないか」などと不安や恐怖を感じ、必要以上に腰を大事にする思考・行動のことです。
具体的には、コルセットの常用や、日常生活の動作を過度に制限することなどが当てはまります。恐怖回避思考は、腰痛の回復を遅らせるだけでなく、再発リスクを高めるともいわれています。
恐怖回避思考を克服するためには、以下の点が重要です。
- 腰痛があっても、無理をせずに日常生活を送る
- 不安や恐怖を感じるときは、その原因を探り、対処する
- 適度な休息とリフレッシュを心がける
また、腰痛の原因として、ストレスや疲労が関与している場合もあります。このような場合は、適度な休息やストレス解消をすることで、恐怖回避思考の改善につながる可能性があります。
ストレス性の腰痛の悪循環から抜け出すコツ
ストレス性の腰痛を改善するためには、ストレスを軽減することが重要です。ストレスを軽減することで、腰痛の原因となる血行不良や脳機能の変化を改善することができます。また、ストレスが原因で腰を過剰に保護する行動をとらないようにすることでも、腰痛の悪化を防ぐことができます。
ストレスを軽減するためには、以下の方法が有効です。
- 適度な運動をする
- 十分な睡眠をとる
- 好きなことに没頭する
- 信頼できる人に話を聞いてもらう
- 専門家に相談する
また、腰痛が慢性化すると、痛みや不安から、コルセットを常用するなど腰を過剰に保護する行動をとってしまうことがあります。このような行動は、腰痛の回復を遅らせる可能性があるため、注意が必要です。
ストレス性の腰痛の悪循環から抜け出すコツは、以下のとおりです。
- ストレスの原因を特定する
- ストレスの原因をできるだけ取り除く
- ストレスを軽減する方法を見つける
- 腰痛を悪化させる行動を避ける
ストレスの原因を特定することで、適切な対処法を見つけることができます。また、ストレスを軽減する方法を見つけることで、ストレスに振り回されることなく、日常生活を送ることができます。そして、腰痛を悪化させる行動を避けることで、腰痛の回復を促すことができます。
ストレス性の腰痛は、適切な対処をすることで改善することができます。ストレスを軽減し、腰痛の悪循環から抜け出すために、ぜひ上記の方法を試してみてください。