カレーといえば、インド料理の代表格として、世界中で親しまれています。しかし、カレーの起源はインドだけではないって知っていましたか?
実は、カレーの起源は、インドよりもさらに古く、紀元前3000年頃の古代メソポタミア文明にまで遡るといわれています。当時のメソポタミアでは、肉や野菜をスパイスで煮込んだ料理が食べられており、これがカレーの原型になったと考えられています。
その後、カレーはインドやアラビアなど、さまざまな地域に伝わり、独自の発展を遂げました。現在では、世界各地でさまざまな種類のカレーが食べられています。
そんなカレーには、意外と知られていない秘密がたくさんあります。
カレーの日本独自の進化
カレーは、インド発祥の料理ですが、イギリスを経由して日本に伝わり、独自の発展を遂げてきました。
日本では、カレーライスが国民食として親しまれています。給食の人気メニューランキングでも常に上位にランクインしており、家庭でもよく作られる料理です。
日本のカレーは、味付けも独特です。しょうゆやかつお出汁を加える家庭が多く、カレーうどんやカレー南蛮などの進化形も生まれました。
カレーうどんは、早稲田大学の近くにあった「三朝庵」の店主が1904年頃に考案したという説や、東京・中目黒の「朝松庵」が1908年に「カレー南蛮」として売り出したという説などがあります。いずれにしても、出汁とカレーの組み合わせは、和食文化の真髄ともいえるマリアージュです。
また、カレーには、チョコレートやハチミツなどの甘いもの系の隠し味が使われることもありますが、その中でも、災害時などに自衛隊が炊き出しカレーに入れるというウワサのコーヒー牛乳は、必殺版といえるでしょう。
実際に、東日本大震災の際には、自衛隊の炊き出し映像で、市販の紙パック入りコーヒー牛乳を大量投入する様子が映し出されていました。もはや隠し味といえないほどのダイナミックな投入方法ですが、意外とコクが出てリッチな風味になるそうです。
カレーは、日本に根付き、国民に愛される料理になりました。その味わいは、日本人の食文化の変化や、創意工夫の賜物といえるでしょう。
ご当地カレーの多彩な魅力
カレーは、日本の国民食として親しまれている料理です。そんなカレーに、近年、新たなトレンドが生まれています。それは、日本全国の名産をカレーの具にした「ご当地カレー」と呼ばれるもの。
ご当地カレーのラインナップは、実に多彩です。北海道の「たらばがにカレー」や、宮城県の「厚切り牛タンカレー」、福井県の「越前いかカレー」、富山県の「しろえびカレー」など、その都道府県の名産がふんだんに使用されています。
中には、戦艦大和の乗組員さんの証言に基づいて再現された広島県呉の「海軍さんのカレー」や、山口県の下関発「くじら南極海カレー」といったレアなカレーもあります。
また、フルーツ系カレーも人気です。山形県産「さくらんぼカレー」や、茨城県産「メロンカレー」、和歌山県産「みかんカレー」、岡山県産「白桃カレー」など、地元の旬のフルーツをふんだんに使ったカレーが楽しめます。
さらに、カラー系のカレーも注目を集めています。鳥取県名産のビーツで色付けされた「ピンク華麗」は、そのラブリーな色合いが話題に。北海道の流氷をイメージした「オホーツク流氷カリー」は、真っ青なカレーソースがインパクト大です。
ご当地カレーは、その土地ならではの味や食材を楽しめるのが魅力です。また、見た目のインパクトも抜群で、SNS映えも狙えます。
日本全国には、まだまだ知られざるご当地カレーがたくさんあります。ぜひ、旅先で出会ったご当地カレーを味わってみてはいかがでしょうか。
カレーの辛さの奥深さ
カレーといえば、やはり「辛い」というイメージが強い。しかし、辛さは味覚ではなく、痛覚によって感知されるという、意外な事実をご存知だろうか。
味覚は、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つから成り立っている。一方、辛さは、トウガラシやコショウなどの辛味成分が、舌やのどなどの粘膜にある痛覚受容体に刺激を与えることで生じる。
辛さの強さは、辛味成分の量によって決まる。トウガラシの辛さは、辛味成分であるカプサイシンの量を示す「スコヴィル値」で表される。日本でおなじみの「三鷹トウガラシ」のスコヴィル値は4〜5万。一方、激辛トウガラシの一種「ハバネロ」は30万スコヴィル、アメリカ製の超激辛ソース「デスソース」は1600万スコヴィルと、その差は歴然だ。
激辛カレーを食べると、口の中がヒリヒリしたり、汗が出たりするのは、この辛味成分が痛覚受容体に刺激を与えているためである。
辛いものが好きな人は、その刺激を楽しんでいると考えられる。また、辛いものを繰り返し食べると、快感をもたらす脳内物質βエンドルフィンが分泌されるため、次第に辛いものがやみつきになってしまうともいわれている。
このように、カレーの辛さには、味覚とは異なる奥深さがある。辛さの度合いや、その楽しみ方は人それぞれ。あなたは、どんな辛さのカレーがお好みだろうか。