不眠症とは、寝つきが悪い、途中で何度も目が覚める、早朝に目が覚めて二度寝ができないなどの睡眠問題があり、そのために日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。
不眠症の症状
不眠症の症状は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 入眠困難:床に入ってもなかなか眠りにつけない。
- 中途覚醒:いったん眠りについても、夜中に何度も目が覚める。
- 早朝覚醒:希望する時刻、あるいは通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない。
これらの症状が、週3日以上、3ヶ月以上続く場合、慢性不眠症と診断されます。
不眠症の原因
不眠症の原因は、大きく分けて以下の4つがあります。
- 環境要因:時差がある場所、寝具や枕が変わる、寝室の温度や湿度、騒音、光など。
- 身体的な要因:高血圧や心臓病、糖尿病、呼吸器疾患、アレルギー疾患などの病気、年齢、性差、頻尿、痛み、ほか。
- 精神的な要因:うつ病、悩みや緊張から起こるストレスの影響や神経質で睡眠にもこだわりやすい性格傾向など。
- 生活習慣要因:寝酒、休日の寝だめ、長時間の昼寝など。
これらの原因が複合的に絡み合って不眠症を引き起こすと考えられています。
倦怠感とは、身体や精神的に「だるい」「疲れた」「疲れやすい」と感じられる状態です。激しい運動や仕事の後でも倦怠感を感じることもありますが、十分な休養をとることによって回復することが多いです。しかし、回復の程度や速さは年齢によって異なりますし、個人差があります。
倦怠感の治療
過労や睡眠不足が原因の場合は、十分な休養をとることで改善する可能性があります。ストレスが原因の場合は、ストレス解消法を実践することで改善する可能性があります。栄養不足が原因の場合は、バランスの良い食事を心がけることで改善する可能性があります。病気が原因の場合は、病気の治療によって改善する可能性があります。薬剤の副作用が原因の場合は、薬剤の服用を中止することで改善する可能性があります。
不眠症の治療
不眠症の治療は、原因によって異なります。
- 環境要因による不眠症は、環境を改善することで改善する可能性があります。
- 身体的な要因による不眠症は、病気の治療を行うことで改善する可能性があります。
- 精神的な要因による不眠症は、精神科を受診して治療を受ける必要があります。
- 生活習慣要因による不眠症は、生活習慣を改善することで改善する可能性があります。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、不眠症の治療に効果的です。以下に、不眠症を改善するための生活習慣の改善例を挙げます。
- 毎日決まった時間に就寝し、決まった時間に起床する
- 寝室を暗く、静かに、涼しくする
- 寝る前にカフェインやアルコールを摂取しない
- 寝る前にリラックスできる入浴や読書をする
- 寝つきが悪い場合は、ベッドでじっとせず、別の部屋で過ごす
- 日中に十分に日光を浴びる
- 適度な運動をする
- 昼寝は20分以内にする
不眠症の薬物療法
不眠症の治療には、生活習慣の改善が第一選択となります。しかし、生活習慣の改善をしても効果がない場合や、重度な不眠症の場合は、薬物療法が検討されます。
薬物療法には、睡眠導入剤や抗うつ薬などがあります。
睡眠導入剤
睡眠導入剤は、脳の興奮を抑えて眠りを誘導する薬です。主な作用機序は、以下の3つです。
- GABA受容体の働きを促進する
- オレキシン受容体の働きを阻害する
- ヒスタミン受容体の働きを抑制する
睡眠導入剤には、以下のような種類があります。
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬:最も古くから使用されているタイプの睡眠導入剤です。作用時間が短いものから長いものまであります。
- 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬:ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて依存性や副作用が少ない睡眠導入剤です。
- メラトニン受容体作動薬:体内時計を整えるメラトニンの働きを補助する睡眠導入剤です。
抗うつ薬
抗うつ薬は、不眠症の原因となるうつ病や不安障害などの精神疾患を治療する薬です。抗うつ薬には、眠気を誘導する作用があるものがあり、不眠症の治療にも使用されます。
抗うつ薬には、以下のような種類があります。
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SSRI)
- 三環系抗うつ薬(TCA)
- モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)
薬物療法の注意点
薬物療法は、効果はありますが、副作用や依存性などのリスクもあります。そのため、医師の指示に従って正しく服用することが大切です。
また、薬物療法はあくまでも対症療法であり、不眠症の原因を根本的に解決するものではありません。そのため、薬物療法と並行して、生活習慣の改善を継続することも重要です。
不眠症の合併症
不眠症は、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- うつ病
- 不安障害
- 高血圧
- 心臓病
- 糖尿病
- 認知症
不眠症は、生活の質を低下させる原因となる病気です。原因を特定して適切な治療を受けることが大切です。
不眠症の予防
不眠症を予防するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 毎日決まった時間に就寝し、決まった時間に起床する
- 寝室を暗く、静かに、涼しくする
- 寝る前にカフェインやアルコールを摂取しない
- 寝つきが悪い場合は、ベッドでじっとせず、別の部屋で過ごす
- 日中に十分に日光を浴びる
- 適度な運動をする
- 昼寝は20分以内にする
また、ストレスを溜め込まないように、適度にリラックスすることも大切です。